2012年6月13日水曜日

順中逆西2

前回の投稿からずいぶん日にちが開いてしまいました。
編集室もメンバーが変わり、少しバタバタしていたものですから・・これからはもう少し頑張って投稿するようにしますね。ちょっとマニアックなお話もできたらいいなと思ってます。

ところで、前回来島海峡の世界で唯一の「順中逆西」航法についてお話したと思うんですけど、どうしてこんな面倒くさい決まりになっているのって思いませんか?道路みたいにいつでも左側通行にすればいいのにって。
実は船の世界では右側通行って決まっているんです。ですから自由気ままに走っているように見える船も、ちゃんと法令、規則にのっとって粛々と運行しています。たとえば、すれ違いの際は相手の船を左側に見ながらすれ違うようになってます。
あ、「順中逆西」に話を戻しましょう。どうしてこんな決まりになっているのかというと、船の構造上のことからなんです。
船が向きを変える際は船尾にある舵を操作して(左右に曲げて)方向を変えます。舵の向きを変えて、流れる水に抵抗を与え、水の向きを変えることによって方向を変えるわけですけど、ここで来島海峡の特徴である速い潮流が問題になってくるわけなんです。速い時には約10ノット(約18km)もの速さで潮が流れます。もし船の進行方向と同じ向きの潮の流れの時は舵の向きを変えても水の抵抗があまり発生しません。
ということは船が向きを変えにくい、ということになります。
来島海峡は西水道が最も狭く湾曲しています。ということは最も素早く船の向きを変える必要があります。そこで西水道を通行する際は逆潮(進行方向と逆方向の潮の流れ)つまり舵がよく効く状態で通行する必要があり、中水道は西水道に比べてまだ広く湾曲も穏やかなので、順潮(進行方向と同方向の潮の流れ)の時に通行する、ということなんです。
こんなことから「順中逆西」航法が生まれたわけなんです。
こうしてみると合理的で安全な航法と思いませんか。
ちなみに、潮流を通行するすべての船舶に知らせるために、来島海峡には5か所の潮流信号機があります。