2012年9月14日金曜日

飛鳥Ⅱin来島海峡


日本船籍最大の豪華客船「飛鳥Ⅱ」が来島海峡中水道を北上しています。



この「飛鳥Ⅱ」は総トン数約50,000トン、全長が240mもある大きな客船です。
定員は800名で、世界各地を訪れています。
瀬戸内海を航行していることも多く、神戸や大阪、高松や松山に寄港したりもしています。
写真は今まさに来島海峡に進入しようとしているところなんですが、よく見てみると前甲板にたくさんの人影が確認できると思います。
この人々の目前には、世界初の3連吊り橋である「来島海峡大橋」が広がっています。
ということは、私たちが普段目にし、通っている「しまなみ海道」は、世界の人々を魅了する観光資源である、と言えるのではないでしょうか。

海から見る「しまなみ海道」、もっともっと多くの方に見てもらいたいですね。




2012年7月18日水曜日

「豊潮丸(とよしおまる)」体験乗船

 「海の日」は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを目的に平成8年に施行された国民の祝日です。
国土交通省の文書の記述などによると「世界の国々の中で『海の日』を国民の祝日としている国は唯一日本だけ」だそうです。
 
 平成19年に制定された海洋基本法第13条は「国及び地方公共団体は、海の日において国民の間に広く海洋についての理解と関心を深めるような行事が実施されるよう努めなければならない。」と「海の日」の行事について定めていて、そのためにいろいろな団体が海に関するイベントを実施しているという訳なんです。

 今治市においてもこの3連休は海に関する色々なイベントがありました。海上保安部の巡視艇の体験乗船や今治港開港90周年を記念しての護衛艦「さざなみ」の寄港などですが、そういった中に「豊潮丸(とよしおまる)」体験乗船というイベントがありました。

 これは、広島大学生物生産学部が所有する最新鋭の練習船「豊潮丸」に親子で乗船して、海洋観測やクルージングを体験し、海や船に親しみ知識や興味を深めてもらうことで、将来の海事都市今治を担ってもらおうというものです。


プランクトンの採取

最新鋭の航海機器を見学

 約3時間の実習でしたが、普段体験することができない海洋観測や航海体験に、参加された皆さんは大変満足された様子でした。
 こういった機会を今後もどんどん提供していきたいと思っていますので、広報やホームページ等で参加募集を見つけられた方は、ぜひ参加してみてください。


 

2012年7月5日木曜日

進水式での一コマ

先日、波止浜湾内の造船所で進水式がありました。
今治市では、年間約100隻の新造船が進水していて、その光景を目にする機会も多いのですが、今回の進水式でも市内の小中学生、近隣の保育所、幼稚園の園児も見学に来ていました。
セレモニーも滞りなく進み、巨大な船体が滑るように進水、眼前に広がった光景に園児たちは大喜び、大きな歓声を上げていました。
 そののち、画用紙とクレヨンを取り出し、進水式の光景を画用紙に書き始めました。




すらすらすらすら~


一心不乱に、迷いなくクレヨンを走らせる園児たちを見て、造船ファンの誕生だぁ・・
と喜んだのは私だけでしょうか。

最後に、こういう機会を提供していただきました造船会社、並びに関係者の皆様方、ありがとうございました。



2012年7月3日火曜日

今治地域造船技術センター修了式


 6月29日(金)、今治地域造船技術センター修了式が行われました。次世代の造船業界を担う若者を育成するこのセンターも8年目を迎え、今回で通算700名を超える研修生を送り出してきました。
 今回の研修修了生は16社56名ですが、全て20代の若者です。4月に始まり6月末までの2か月半の間、社会人、造船マンとしての基礎知識からアーク、ガス溶接などの実技、クレーン運転技能や玉掛技能などを先輩講師から学んだフレッシュマンたちは、真剣な表情で修了式に臨んでいました。



 船は世界一大きな「動くもの」です。そこには300m、30万トンを超える極大の世界と1/100㎜の極小の世界が混在します。そういった奇跡の現場で働く若者たちに、私たちのまちの将来がかかっています。

2012年7月2日月曜日

出前海事教室「今治海上保安部のお仕事」in菊間中

6月27日(水)出前海事教室「今治海上保安部のお仕事」講演会が今治市立菊間中学校で全校生徒148名を対象に開催されました。

 
 これは、今治市が海事都市構想の基本指針「次世代の人材育成」を目指し、海や船に親しむ機会をということで、海の安全、海の職業を知るために今治海上保安部に講演いただいています。
 四方を海に囲まれている我が国の海の安全を守るために、日夜活躍している海上保安官の仕事や役割、どうすれば海上保安官になれるのかをお話しいただいたり、海のシーズンを迎え、海難事故から身を守るための方法など、映像を交えての講演がありました。
 質問の時間では「一番多い事故の種類は」や「大変きつい仕事だということが分かったが、何が一番うれしかったか」という質問があり、保安官は「一番多い事故は船同士の衝突事故」、「一番うれしかったことは、救助した人が元気になったあと、笑顔でありがとうとお礼を言ってくれたこと」と答えていました。
 生徒たちは、本物の「海猿」を目の前に、真剣に話に聞き入り、海上保安官の仕事や海での安全を守るためにどうすればよいかを学んだようです。

2012年6月13日水曜日

順中逆西2

前回の投稿からずいぶん日にちが開いてしまいました。
編集室もメンバーが変わり、少しバタバタしていたものですから・・これからはもう少し頑張って投稿するようにしますね。ちょっとマニアックなお話もできたらいいなと思ってます。

ところで、前回来島海峡の世界で唯一の「順中逆西」航法についてお話したと思うんですけど、どうしてこんな面倒くさい決まりになっているのって思いませんか?道路みたいにいつでも左側通行にすればいいのにって。
実は船の世界では右側通行って決まっているんです。ですから自由気ままに走っているように見える船も、ちゃんと法令、規則にのっとって粛々と運行しています。たとえば、すれ違いの際は相手の船を左側に見ながらすれ違うようになってます。
あ、「順中逆西」に話を戻しましょう。どうしてこんな決まりになっているのかというと、船の構造上のことからなんです。
船が向きを変える際は船尾にある舵を操作して(左右に曲げて)方向を変えます。舵の向きを変えて、流れる水に抵抗を与え、水の向きを変えることによって方向を変えるわけですけど、ここで来島海峡の特徴である速い潮流が問題になってくるわけなんです。速い時には約10ノット(約18km)もの速さで潮が流れます。もし船の進行方向と同じ向きの潮の流れの時は舵の向きを変えても水の抵抗があまり発生しません。
ということは船が向きを変えにくい、ということになります。
来島海峡は西水道が最も狭く湾曲しています。ということは最も素早く船の向きを変える必要があります。そこで西水道を通行する際は逆潮(進行方向と逆方向の潮の流れ)つまり舵がよく効く状態で通行する必要があり、中水道は西水道に比べてまだ広く湾曲も穏やかなので、順潮(進行方向と同方向の潮の流れ)の時に通行する、ということなんです。
こんなことから「順中逆西」航法が生まれたわけなんです。
こうしてみると合理的で安全な航法と思いませんか。
ちなみに、潮流を通行するすべての船舶に知らせるために、来島海峡には5か所の潮流信号機があります。



2012年3月16日金曜日

順中逆西

来島海峡を竣工したばかりの大型貨物船が航行しています。来島海峡は湾曲して狭い上に、日本三大潮流と言われるほど潮の流れが速く、古来から海上交通の難所として有名な地域でした。そのため、水軍の活躍などに代表される操船術の技術者集団が多数存在し、それが現在の海運業の発展につながってきたといえます。




 海上交通の難所であり、船舶の通行量が非常に多い要衝であるため、来島海峡では世界でここだけのルールがあります。それが「順中逆西」という通航方法で、南流(満潮)と北流(引潮)の場合に航路が変わります。写真の船が航行するときは北流であったため、「中水道」と言って大島と馬島の間を通り、燧灘から安芸灘へ抜けていきます。 来島海峡大橋と比べると貨物船の大きさが一際目立ちます。造船所から出航したばかりの船は、狭く潮流の速い海上交通の難所を航行して日本から世界の海へ旅立って行きます。

2012年3月9日金曜日

今治市外航海運セミナーIN今治北高

平成24年2月22日(水)愛媛県立今治北高校の1年生320名を対象に、「今治市外航海運セミナー」が開催されました。 同校での開催も4回目を迎え、OBの海運会社代表者が講師として講演する機会も定着化したようです。生まれ育った今治の街、学び舎のある今治の街、その親しんだ今治の街にしっかりと腰を据えて国際競争を勝ち抜くため、刻々と変わる国際情勢にアンテナを張り巡らし、活躍している様子を生徒に伝えて欲しいという学校の願いがあります。


海運オーナーからは今治市の外航海運業の現状について、世界中の海運会社上位50社の中に今治の海運会社が4社入っていることや、30万トンの船がブラジルから日本に定期的に鉄鉱石を運ぶように今治地区で830隻を超える船を保有しており、日本や世界の物流を支えていることなどを紹介しました。そして、「船は一人では動かない。海運・造船・舶用、銀行、商社等それぞれが協力して動かす。」と海事都市今治の構成を説明され、最後に「この業界で将来一緒に仕事をしよう」とエールを送りました。こうした先輩からの講演に刺激を受けて、近い将来海事都市今治を担っていく若者が誕生することを願っています。

2012年3月5日月曜日

今治市港湾振興協会講演会

2月17日(金)今治市内のホテルで「今治市港湾振興協会講演会」が開催されました。演題は「海事産業の今後について」ということで、造船業界から今治市海事都市交流委員会檜垣幸人会長(今治造船株式会社代表取締役社長)、海運業界から今治市外航海運協議会阿部克也座長(日鮮海運株式会社代表取締役社長)がパネリストとして出席され、業界関係者など約200名が聴講しました。 振興協会の菅良二会長(今治市長)が「今治市の産業を支えていく気概を持っていただきたい」とあいさつがあり、金融界から新生銀行政井貴子部長が、海事産業界が国際競争の中で生き残っていく上で重要な要素となっている為替動向について、昨年来の市場を回顧し今後の予測を述べられました。
檜垣幸人会長は「三代四代と付き合ってきた船主と造船所は、長い間築いた信頼関係で付き合ってきた。お互いに苦しい時こそ、その船主さんを大事にしてお付き合いしたい」と海事都市今治のつながりの重要性を述べられました。 阿部克也座長は「政策で特効薬は期待できないが、悪いと言い続けても仕方がないので、今ある状況でベストを尽くし、好転するきっかけを待つしかない。それには造船所の競争力のある船が必要」と述べられました。 海事都市今治に集積する力を結集し、これまで培ってきた経験やネットワークを駆使すれば、厳しい荒波を乗り越え「ピンチをチャンスに変えることができる」と信じています。

2012年2月16日木曜日

造船技術センター中級研修

1月20日(金)、21日(土)の2日間、今治地域造船技術センターの「平成23年度専門技能科造船溶接中級コース」が新来島どっく研修所で開催されました。造船所各社の現場で中心的な役割を担う5~10年程度の経験を経た13名の技能者が座学と実技を織り交ぜ、2日間に凝縮して研修を積みました。 今回の研修目的は、「自己の技能の裏付けとなる知識と技能を捉えなおし受講生自らが学ぶこと」であり、講師がアドバイスをせず、受講生自らが考え、相談しながら実習を行います。「わざと溶接欠陥を作ってみる」とか、「電圧や電流を変えてみる」など、通常の業務中にはできない様々な事象を自ら作り出し、その違いについて受講生同士が討論し、講師を含めた全員の前で発表する形式で行われました。 溶接は簡単な作業に見えても、高度な技術と経験が要求されます。素材や熱、位置、スピードなど違いでクラックなど溶接の欠陥ができ、必要な強度を持った溶接ができていないと、当然船舶の強度に影響が出てしまいます。 受講生が研修の成果を現場に持ち帰り、現場のリーダーとして活躍することが海事都市今治の船造りを支えていくことになります。

2012年1月20日金曜日

感謝祭

「日本最大の海事都市今治」には海事産業の工場が多くあります。一般の方々から「船造りの現場を見学したい」「是非、大きな船を近くで見てみたい」という要望をいただきますが、常に安全に配慮しながら、高操業を続ける造船所の作業現場に一般の方が入ることはなかなか難しいところです。
「バリシップ」の際や、こういった地元向け「感謝祭」のようなイベントの際に限って、竣工前の新造船や、製造中のブロックなどを間近で見る機会が提供されます。 今回、今治市で最も大きな敷地を有する大西町の造船所では5,350台積の自動車運搬船が披露されました。見学ルートでは造船所のブロック組立工場を経由して、建造中のドック、竣工前の船舶など、一枚の鉄板から大きな船が出来上がるまでの工程を見学することができました。 ばら積み船と比べると、自動車運搬船は縦のボリュームがあり、船体が壁のように見えます。船の中に入ると、大型カーフェリーのように自動車を積込める階層が何階もあり、船内からも大きさを感じ、自動車を大量に運ぶことに特化した船であることが実感できます。 この「感謝祭」には地域住民と招待された小学生が多数参加しました。地元で操業できることに造船所が「感謝」の意を表すために、船造りの現場を披露する機会は、船造りにおけるスケールの大きさを感じて貰うことで、「次世代の海事人材育成」に欠かせない事業になっています。